視聴者が“今最も見たい女性”に密着し、自身が課す“7つのルール=こだわり”を手がかりに、その女性の強さ、弱さ、美しさ、人生観を映し出すドキュメントバラエティ『7RULES(セブンルール)』。

12月1日(火)放送回では、看護師・村田詩子(むらた・うたこ)に密着。東京・府中市、心臓病の治療で全国トップクラスの実績を誇る榊原記念病院の小児外来で、看護責任者を任されている。

訪れる患者は、生まれつき心臓疾患を抱えた子どもたち。長い闘病生活を余儀なくされている親子に日々寄り添うかたわら、「発明主婦」としての顔を持つ彼女の、セブンルールとは。

ルール①:子どもには「合コンさしすせそ」で接する

小児外来が始まるのは朝9時から。患者はもちろん全員子ども。先天性の心臓疾患は、成長に応じて何度も手術を繰り返さなければならないため、患者とその家族とは、長い付き合いになる。

赤ちゃんのときから知っている9歳のるいくんに、生まれた時から一緒だという3歳のはるひとくん、そして1歳になるなおきくんも、生まれて間もない頃から知っている。

診察前に体重や血圧など、基礎的なデータを取るほか、子どもたちがどう過ごしているか、話を聞くのも彼女の大事な仕事。その会話の中にはあるルールがあった。それは、「合コンさしすせそ」を使うこと。

「さすが」「しらなかった」「すごい」「センスいい(=かっこいい)」「そうなんだ」この5つを繰り返していると、子どもにも自信がつくのか、ずっとしゃべってくれるのだという。

ある日は、採血を控えた3歳のけいくんが、DVDプレイヤーにディスクを入れたところで「すごい、こんなことできるようになったの」と、彼女。そうしてけいくんのテンションを上げたところで、採血へ。言葉をかけ続け、順調に採血を乗り切った。

ルール②:その日の医師の色に染まる

手術が成功し、今は通院治療をしている2歳のあらたくんが、ある日診察を受けに来た。円滑に進めるため、彼女はあらかじめアニメのDVDを用意して、医師につきっきりでフォローする。しかし、別の医師が診察を行う際は受付に。

その日の医師の色に染まるのが、彼女の診察時のルールだ。 

「個性がそれぞれで求めてくることも違うし、テンポも違うし、全部違うから。でも先生がいかに実力を発揮出来るかを考えることは、ひいては患者さんのためになると思っているので」と話す。

「『この先生にはこういう説明をする』『この先生には結果しか言わない』とか、どの語尾で終わるかまで考えてます」と明かすと、「でもこれはあまり言いたくなかった。先生にネタバラシしちゃってるみたいになるから」と笑う。

彼女と一緒に働く小児科医も、「かゆいところに手の届く感じで、何も言わずに意図をくんでくれるところが、村田さんのすごいところだと思います」と、彼女を褒めた。

ルール③:自分が困ったときは発明する

大阪府枚方市に生まれた彼女は、幼い頃から、赤ちゃんや子どもが大好きだった。 「小さくて困っている人たちの役に立てるなら」と、医療短期大学を卒業後、新生児集中治療室の看護師に。

しかし結婚を機に3年で退職。子育てに奮闘する中、困っていたのが「授乳服がないこと」。そうして自ら作った授乳服が、今では一般的なものとなった。

これをきっかけに、発明主婦として話題になり、メディアにもたびたび登場するように。

「多分、私が考えた発明って、誰でも思いつくようなものなんですよ。だけどそこで動くっていうことが何より重要で」と語る彼女は、今回のコロナ禍でも、ある発明をしていた。

それは、ゴミ袋で作る防護服。「今日(防護服が)足りなくて、自分の分だけでもなんとか」という思いから生まれたという。

「究極に困っている場面があって、そこに対して何か工夫をして、ちょっとでも楽しく過ごせるとか、困ったことが解決出来たらいいな」と話した。

ルール④:調理家電は惜しみなく使う

家庭での彼女は、大学生の長男と長女、小学校5年生の次男の母親。長女の結衣さんは、母について「いい意味でも悪い意味でもお母さんらしくないかも。お母さん兼お父さん」と話す。

もともと母子家庭で2人の子どもを育てていたが、発明主婦の取材に来た今の夫と再婚し、次男が誕生。5人家族になった。

育ち盛りの子ども3人を抱え、冷蔵庫には大量の肉が、そしてキッチンには、低温調理器や電子圧力鍋、ホームベーカリー、ブレンダー、ミキサーと、調理家電が多く並ぶ。

こういった“発明”も、当初は「自分も考えられたのに」という悔しさがあったというが、最近ではその恩恵に預かり、便利な家電はすぐに買ってしまうのだという。

ルール⑤:家の各所に掃除機を置く

彼女が家でこまめにしている習慣が、掃除。しかしそのやり方は独特で、キッチンと洗面所、玄関と、3ヵ所で違う掃除機を使用している。

1台の掃除機を持って移動することが面倒くさいという理由から、思い立ったらすぐ掃除出来るよう、掃除機は家の各所に置くようになったのだとか。 

そして理由はもう一つ。「大掃除が嫌い」ということ。「大掃除になる前に、中掃除くらいで終わるように」と、汚れをためないよう、こまめな掃除を心がけているのだそう。

ルール⑥:子どもは「天才」と言って育てる

最近カードマジックにハマっている次男の旺志郎(おうしろう)くんが、ある日、選んだカードを当てるマジックを披露した。見事に成功すると、彼女は「なんでわかったん?天才やわ」と絶賛し、その後も「天才」を連発。

「褒められて悪い気する人っていないと思っていて。うちの子、無駄にポジティブですね。(天才というのは)冗談なんですけどね」と言い、長男の進之介くんは「『天才』って言われるから、やれば出来るんちゃうかなくらいの気持ちにはなるかな。『無理』って言われたら無理やん」と話す。

そんな進之介くんは、高校サッカーで華々しい成績を収め、サッカーの名門大学に進学。そして長女の結衣さんも難関大学に進学。1人で海外をまわるほど語学が堪能で、将来は出版関係の仕事を目指しているという。

個々に成長を見せる子どもたちだが、彼女は「みんなそれぞれが、自分らしく生きていけるように育てようかなって思います」と、改めて語った。

ルール⑦:患者の母を「私の娘」と考える

重度の心臓病患者がやってくる小児外来で、彼女はいくつもの悲しい別れを経験してきた。

「亡くなった子たちのお母さんたちに会いたいなって思うことがあるんですよ。その子たちのことを思い出して話したい。『忘れてないからね』って、やっぱり言いたい」と、胸の内を明かす。

11月中旬のある日、7ヵ月の女の子の2回目の手術が成功し、退院となったが、彼女は思いの外、冷静だった。

「まだまだここから、一緒に頑張っていくのは変わらない」と話す。ここに通う子どもたちは、成長する過程で何度も試練を乗り越えなければならない。そんな親子に対して、彼女は決めていることがあった。

それは、「私がお母さんだったら」ではなく、「このお母さんたちが自分の娘だったら、私は一体どうしてあげたいかな」と、考えること。

「『自分だったら』と考えると近すぎて冷静に考えれなかったりする。だから『来ている子たちのおばあちゃんだったら、どういうふうにこの親子を見るかな』って考えているかな」と、その理由を語る。

そんな彼女を、患者の母親は「普通に子育ての相談とかも出来て、本当にお母さんみたいな人ですね」と話した。

病気に立ち向かっているのは親も同じ。それを知る彼女は、祖母のような、包み込む優しさで親子を見守り続けている。

※記事内、敬称略。

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次回、12月8日(火)の『7RULES(セブンルール)』は、特別編として廣津留(ひろつる)真理・すみれ親子に密着。世界の一流大学を主席で卒業した才女と、育てた母。天才を育てるルールとは。