ワイン醸造家・須合美智子が自身に課す“セブンルール”「歳だから無理と言い訳したくない」
11月17日(火)放送『セブンルール』
視聴者が“今最も見たい女性”に密着し、自身が課す“7つのルール=こだわり”を手がかりに、その女性の強さ、弱さ、美しさ、人生観を映し出すドキュメントバラエティ『7RULES(セブンルール)』。
11月17日(火)放送回では、ワイン醸造家・須合美智子(すごう・みちこ)に密着。
わずか10坪の面積で、年間1万3000本のワインを生産する、東京・御徒町の都市型ワイナリー「Book Road」の責任者を務める須合。彼女が丹精込めて手作りするワインは今年、最高品質の国産ワインの証でもある「日本ワイナリーアワード」で、3つ星を獲得した。
2人の子育てをしながら飲食店のパートで働く、普通の主婦だったところから、45歳、まったくの未経験の状態で転身。醸造家の道を歩む彼女のセブンルールとは。
ルール①:葡萄は種ごと味見する
8月下旬、須合は自らトラックを運転し、葡萄の収穫に茨城県へ。葡萄は、自社農園の他、日本各地の農家と契約を結び、国産100%にこだわっている。この日は2トンの葡萄を収穫予定。「ワインを造るのは水仕事と力仕事がほとんど。最初の力仕事が収穫、運搬ですかね」と明かした。
一房ずつ収穫し、水を吸いきれていないなど、ワインに適さない実は一粒一粒ハサミで切り落とす。そして葡萄の味見をするときに彼女が決めているのが、必ず、種まで食べること。
種や皮ごと発酵し醸造する赤ワインは、その渋みや風味がワインの味を大きく左右させる。どんなワインに仕上げるか、彼女は種ごと味見して、完成形をイメージするという。
一粒口にすると、「煎ったあとみたいな感じがします。いい香りのワインにしたいなぁ」と期待を膨らませた。
そんな彼女を、農家の男性は「須合さんは、葡萄を見て『今年どんな感じで造ろうか』って、アレンジしていますよね。出来上がったワイン見ると、そういう気がしますよ」と、評価する。
「『前回はこんな感じで(醸造を)やったけど、今年はちょっとこうしよう』とか(変化をつけている)。やっぱり(ワインを)ただ造ってちゃダメだって思います」と話す彼女。
この日収穫した2トンの葡萄は、16kgごとに計量し、計125ケースをトラックに積み込んだ。
ルール②:木樽は使わない
収穫の翌日、ワイナリーに2トンの葡萄が運び込まれた。Book Roadの全スタッフ4名で、都市型ワイナリー特有の狭さと格闘しながらのワイン造りが始まる。10坪という狭い空間では、机の下をしゃがんで移動することも。
葡萄の茎をまず取り除くと、「醸し(かもし)」と呼ばれる、皮や種から渋みを抽出する工程へ。2、3週間かけ、自然発酵で糖分がアルコールに分解されていく。彼女はその間、寝る時間以外ワインに付きっきりになる。
繁忙期のワイナリーに休日はないが、「Book Roadのために、美味しい葡萄を入れたいって思うんだよ」と、農家から言われたことが、彼女を支えている。
収穫からおよそ1ヵ月後、ワインの味を決める「熟成」の工程へ。一定期間ワインを寝かせて、味と香りを変化させていく。多くのワイナリーでは、木樽(きだる)の中で熟成させるのだが、「Book Road」ではステンレスのタンクしか使わない。
「木の樽を使うと、葡萄そのものの香りとか味を樽香(たるこう)でマスクしてしまうイメージがあるので」と、その理由を明かし、「葡萄って品種ごとに味も香りも違っていて。それをまずは飲んでもらいたい。知ってもらいたい」と語った。
ルール③:ラベルのデザインはワインに合う食べ物
岩手県出身の彼女。高校卒業後は信用金庫で働き、23歳のとき、結婚・出産を機に退職。以降は飲食店のパートをしながら、家事・育児優先の生活を送っていた。
「“お母さん”っていう役目が自分にできて、ご飯の支度をするとか、家のこと全般やるって大事だなって思っていて。フルタイムで働くっていう考えがあまりなかったですね」と、当時を振り返る。
45歳、子育てもひと段落した頃、パート先の会社がワイナリーを立ち上げるという話を聞いた。「興味がモリモリ」湧いた彼女は、未経験からワイナリーの責任者に立候補。山梨のワイナリーで修業を積んで、醸造免許を取得した。
農家を探すこと、ワインを売ること、すべてが手探りだったというが、2017年にワイナリーをオープンすると、次第に口コミが広まった。
SNSで評判を呼んでいるラベルのデザインは、デザイナーを招き、スタッフ全員で考えている。この日は、完成したばかりのワイン「富士の夢」のラベル会議が行われ、テーブルには各スタッフが持ち寄ったワインのお供が並ぶ。
Book Roadでは、「そのワインを何と一緒に飲んだら美味しいか」、ラベルを通して提案している。「ちょっとした甘みが、今回は相性良さそうですね」「合わせやすいのはフルーツ寄りだね」そんなやりとりを経て、「あんぽ柿」をラベルデザインに組み込むことに。
「お客様といろいろお話すると、『ワインに詳しくない』っておっしゃる方がすごく多いんですけど。難しく考えないで飲んでほしい」と、彼女は語る。
ワインをもっと気軽に、いろいろな食べ物と楽しんでほしい、Book Roadのラベルにはそんな思いが込められている。
ルール④:子どもへの連絡は月1回
ある日、離れて暮らす息子・圭吾さんと外食へ出かけた彼女。未経験でワイン醸造家の世界に飛び込んだ母を、圭吾さんも「大変そう」と、気遣っている。
そんな息子、そして娘とのルールが、月に1回は連絡を取ること。忙しい子どもたちを想って、返信しやすいよう、最低限の一言に留めているという。
「もっと連絡してもいいんですけど、なかなか返事が来ないので」と笑う彼女。
「『どうしちゃったんだろう?』っていう頃、返事が来ます」と話すのを聞いて、「そんな遅い?」と笑う息子に、「遅い。それも、既読にならない」と口をとがらせる。
そうは言っても、息子は、母のことを心配している。「月に1回くらいは(連絡を入れるようにしている)。放っておいたら死んでそうだから、忙しすぎて。ボロボロな顔してると心配だから」と、息子の胸の内を聞き、彼女は「そう思ってくれるなんて。今まで聞いたことなかったから、今日撮影してもらって良かったです」と感激した様子を見せた。
ルール⑤:靴下と靴は右足から履く
1ヵ月以上手塩にかけてきた白ワインの瓶詰め作業日、一本一本、手作業で栓をする。スパークリングワインは、このあと1ヵ月ほど寝かせ、瓶の中で発酵させる。
以前、ソーヴィニヨンブランを造った際は、1ヵ月以上経っても発酵せず、「もう少し部屋の温度を上げてみては?」という他の醸造家の意見を聞き、暖房をつけたこともあったのだとか。
天然酵母頼みのワイン造りは、人間の思い通りにいかないことも多い。
「本当に祈るような気持ちです。スパークリング造る時って」と話す彼女は、「お願いします」と言いながら栓をしていく。
そんな不安な気持ちを軽くするため、毎朝の身支度で欠かさないのが、「ゲン担ぎ」。
「良いことが増える」と、何かで見かけた小学生以来、靴下と靴は、右足から履いているのだという。
ルール⑥:毎月必ずバルを開く
Book Roadでは、月に1回、ワイナリーを開放し、角打ちスタイルの「バル」を開催している。
その時期によって取り揃うラインナップを、1皿300円のおつまみとともに、1杯300円と手頃な値段で“ちょい飲み”できるとあって、昼間にもかかわらず、多くの客で賑わいを見せる。
「『ここにワイナリーがあったんだ』って気づいてもらえるし、お客様が目の前で飲んでくださるので、『どうですか?』って感想を聞けるのがバルを続けている理由」と明かす。
毎月開くこのバルが、彼女にとってかけがえのない時間だという。
「葡萄と蔵と人が繋がって、繁栄していけたら」という思いでつけられた、「葡蔵人」=「Book Road」という名前。
「名前の通りだなって感じることが楽しい」と、彼女は目を輝かせた。
ルール⑦:年齢を言い訳にしない
彼女が醸造家の道を歩み出したのは、4年前。「ワインの勉強でワイナリーに行った時、『ワインって、グラスを回してて優雅な感じ』と言ったら、クスって笑われたんです」と振り返る。今では、その意味がよくわかるようになった。
力仕事がメインのワイン造りに、45歳・未経験で飛び込んだ彼女。周囲からは「無謀だ」と言われたこともあったが、「歳だから出来ないとか、歳だから無理っていうことを言い訳にはしたくない」と、強い意志で突き進んできた。
「『ママはワインを知ってるの?』って言われたましたけど、知らないし、造ったことない。『できるの?』って言われましたけど、やってみないとわからないし、やる前から出来ないって決めるのは違うと思うよって」、子どもたちと、そんなやりとりもあったという。
結婚・出産を経て、子どものために生きてきた彼女は今、自分のために第二の人生を歩み出したばかり。
彼女は言う。「いくつであっても、やりたいと思ったらやったらいいと思う。それは年齢に関係なく」。
新しいことを始めるのに、きっと遅すぎることはない。そう信じて、彼女は今年の秋も全力で走り抜ける。ワインの本格シーズンは、もうすぐそこ。
※記事内、敬称略。
次回、11月24日(火)の『7RULES(セブンルール)』は、“体にやさしい”創作中華で人気の「美虎(みゆ)」オーナーシェフ・五十嵐美幸に密着。22歳の若さで、伝説の番組『料理の鉄人』に出演。困難に立ち向かいながら、中華料理界では珍しい“女性シェフ”の道を切り開いてきた、彼女の7つのルールとは。
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