吉岡里帆さんが、俳優人生の転機を語りました。
6月25日(日)の『ボクらの時代』は、俳優の吉岡里帆さん、芸人、小説家の又吉直樹(ピース)さん、シンガーソングライターの吉澤嘉代子さんが登場しました。
吉澤さんが7年前に発表したMVに、吉岡さんが出演。以来、2人はプライベートでも親交が深い仲。
7月14日(金)から公開予定の映画「アイスクリームフィーバー」では、吉岡さんが主演を務め、吉澤さんが主題歌「氷菓子」を書き下ろしています。
又吉さんは、自身が脚本を手掛けたドラマ『椅子』(2022年/WOWOW)で吉岡さんが主演。吉澤さんとは、音楽番組のMCを務めたことがある間柄です。
吉岡里帆 悪女役への反響が「大事なターニングポイント」
吉岡さんは、又吉さんと吉澤さんに創作活動について聞きました。
吉岡:お2人は、0から1を作る方たちじゃないですか。小説も音楽もお笑いも。私は、本があって初めて仕事が始まるので、そこが自分にない才能すぎて、どうやって(作品が)生まれてるのかを聞きたいです。
吉澤:私は「この言葉好きだな」って思うと、その言葉を「所有したい」っていう欲でタイトルにすることから始まりますね。
又吉:うわ、わかるな。
吉岡:へえ。そうなんですか。
又吉:はい。
吉澤:タイトルから作ることが多いです。
又吉:言葉を掘り下げていくみたいな作り方なんですかね。
吉澤:そうですね、うん。そのタイトルに見合う物語はなんだろうっていうところから。本当に、所有欲から作っていると思います。
又吉:吉岡さんは、0、1じゃないっておっしゃってましたけど、誰が演じるかによって、全然違うものになるんじゃないですか。
吉岡:ああ。でも、それはありますよね。
又吉:そうですよね。それももう、ほぼ創作じゃないですか。
吉岡:えー、いや、どうなんだろう。なんかでもやっぱり、「応えたい」みたいなほうが強いので、書かれた方が想像してるものにたどり着きたいみたいなところがある。
そこで、吉澤さんが「里帆ちゃんには、いつも役に対しての誠実さを感じている」と言うと、吉岡さんは俳優としてのターニングポイントと信条を明かしました。
吉岡:初めてドラマで悪役をさせていただいたときに、すごく反響をいただいて。「本当に嫌いになった」と。
又吉:ああ。
吉岡:悪女過ぎて。「本当に嫌な気持ちにもなるし、すごく嫌いになった」っていう感想を当時はたくさんいただいたんですけど。それが、自分の芸能人生ですごく大事なターニングポイントになっていて。やっぱり、演じていると、本を読んでいると「その子がなぜそうなってしまったのか」の裏側も、感じるところがあるじゃないですか。誰よりも(役の)近くにいる状態なので。
吉澤:うん。
吉岡:だから、どんなに嫌な、どんなに魅力がない役だったとしても、自分自身が全肯定することが大事っていうか。「嫌い」とか、「嫌だ」とは自分は思わないようにしていて。
又吉:確かに。
吉岡:その中にちょっと面白みを見つけたりとか、チャーミングさを見つけたりとか、いとおしいとか、何かしらを見つけるようにっていうのは、日常でも対人においてするようになったっていうか。
吉岡さんの姿勢に、又吉さんは「そう考えたら、すごい複雑なお仕事ですね」と、感心しました。
又吉直樹「綾部さんが英語を話せるようになっていれば…」
吉澤さんは、芸人と作家、二足の草鞋(わらじ)を履く又吉さんに、「どっちを軸に?」と質問しました。
又吉:両方一緒やと僕は思ってるんですけど。芸人をやりながら本を作ったりしてきたので、そこはあんまり変えたくないなとは思ってるんです。この2~3年、あまり外出歩けないっていう状況があって、家で1人で。だから、文章書く仕事のほうが、今はもしかしたら多いかもしれないですね。
吉岡:綾部(祐二)さんとは最近、連絡はとられてるんですか?
又吉:連絡は、とってますね。ちょこちょこ。
吉岡:2人でまたコントしようみたいなのは、ないですか?
又吉:そういう話はしてないんですけど、でも、なんかやりたいなっていう気持ちは、僕自身はありますけどね。
吉岡さんから「又吉さんがアメリカに行くっていうパターンは?」と聞かれると、「それはありますね」と返答。
「綾部さんが英語話せるようになってれば、やりようがあるかもしれないですね」とその可能性を示唆しました。
吉澤嘉代子 「子どものころ魔女修行をしていた」
吉澤さんは「おしゃべりで人に気持ちを伝えようとすると、泣いちゃうような子どもだった」と、自身の幼少期を語りました。
そして、「初めて曲を作ったときに『あ、これで世の中とつながれるかもしれない』って、すごい希望が見えたんですよね。『これで食べていけるかもしれない』って。まだ、誰にも聴かせてなかったんですけど」と音楽活動のきっかけを明かしました。
吉澤:私、子どものころ魔女修行していて。ある日、魔女のおばあさんにさらわれる夢を見て、そのときに「なんにもない自分がこのままさらわれてたら、特別な人間になれたかも、魔女になれたかも」っていうところから、一人遊びの延長で魔女修行を始めて。自分に源氏名みたいなのをつけて。飼ってるウサギと犬とかに「本当はしゃべれるんでしょ」ってしゃべりかけたりとか、お年玉で買ったほうきで飛ぶ練習をしたりとか。そういうものが、のちに黒歴史になって、すごく恥ずかしかったんですよ。
又吉:うん。
吉澤:なんですけど、やっぱり曲を作るようになってからですかね。そういう時間が、自分の、この想像とか、1人の世界みたいなのを作っていたなと思って。
又吉:そうですよね。それ、名前もつけてたんですか?自分に。
吉岡:あー、気になる!
吉澤:つけてました。ウィンディちゃんって(笑)。
吉岡:かわいい(笑)。
吉澤さんは「自分の無力さを知っているからこそ『何者かになれるんだ』っていう希望を持って。それが生きる術だったんです」と振り返りました。
一人暮らしで感じる寂しさと結婚願望
3人は、結婚願望や、一人暮らしで感じる寂しさについても語り合いました。
吉岡:結婚は?どうですか、結婚願望。
又吉:あるんですけど。結婚してみたいというか。ずっと1人で暮らしてきたんで、誰かと一緒に生活したり、誰かと一緒におるなかで、仕事したらどういう感じになるのかなとか。やる気なくなるのかなとか、やる気出るのかなっていうのが何もわかんないんで。
吉澤:とにかく、焦ってしたくはないなって思います。
吉岡:うん、うん、わかる。
吉澤:でも、自分の夢としては、大好きな人と結婚して、ずっと歌って、死ぬっていうのが夢なので。自然な形で、大好きな人が見つかったらいいなとは思うんですけど。
吉岡:そうか。
吉澤:里帆ちゃんは?
吉岡:私も一人暮らしなんですけど。お笑いとかも好きなので、家で1人でテレビ見てて、知らない間に笑っちゃってるときがあって。「ははっ!」みたいな(笑)。たまに独り言も言っちゃってるときがあって。そういうときに、面白いものを見たときに、共有したいなっていうのはあるし…。
吉澤:はい、はい。
吉岡:あと、おいしい手土産をいただいたときに、すごいきれいにラッピングされたのが4つくらい入ってるのを見たときに「これ、1人で食べるのか」って。
又吉:それ、わかるわ。
吉岡:あれもらったとき、これ、家族いたら「みんな、持って帰ってきたよ!」って。
吉澤:「わーい」って。
吉岡:そう、やれるのかって思うと、一人暮らし、やっぱりちょっと寂しいなって思いますね。
それを聞いた又吉さんは「有名店のレトルトカレーの1キロのやつを、通販で間違って買っちゃった」とぼやき、笑わせました。
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