発売から52年、子どもから大人までに愛されている「プッチンプリン」。
2013年には、「世界で最も売れているプリン」として、ギネス世界記録にも認定された江崎グリコの人気商品が、2024年5月の今、商品棚からその姿を消してしまっているといいます。
買い物客(50代):
あって当たり前のような感じだったので、なくてびっくりしました。カチッとやったら落ちてくるのが、昔は新鮮で楽しかった。
出荷停止の理由は、4月に発生した「システム障害」。障害から1カ月以上がたった今でも出荷は再開されていません。
ベニースーパー 佐野店 長谷川勝 店長:
かなり期間たちますね、当初の予定はもうそろそろということだったけど、まだ入ってきてない。これだけの長い期間というのも記憶にないです。
消えた定番商品に、買い物に来たお客さんからは困惑の声も…。
小学生の子の親:
子どもがまだ小学生なので、どうしても「プッチンプリンがいい」と言われると代わりがないから困っちゃいますね。昔からあって安心して食べさせられるから、他のものでどうしようと思っちゃいますね。
プッチンプリンが好きな親子:
子どもがプリン好きなんで、プッチンプリンとかを買っているんですけど、最近ないもんね…。他のプリンを買うんですけど、やっぱり味が違うって。
プッチンプリンが好きな子ども:
プリン大好き。お皿に“プチン”ってやるのがいい!
「企業の事業継続に大きな問題」
なぜプッチンプリンは出荷停止になってしまったのか。
事の発端は、4月3日。システムの切り替えを行ったところ、障害が起きて出荷業務に遅延が発生しました。
4月14日には全国で冷蔵品を出荷停止。18日に一部商品の出荷を再開するも、再びトラブルが発生。システム上の在庫数と、実際の在庫数が一致せず、現在も17ブランド82品目が出荷停止となっています。
江崎グリコは当初、出荷再開は5月中旬を目指すと話していましたが、5月1日にホームページで再開延期を発表しました。現在「システム障害に関する問題の特定は進んだものの、解消に時間を要している」とし、6月中の出荷再開を目指しています。
障害発生から再開まで2カ月も必要なのはなぜなのか?
経産省の「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」元委員の山本修一郎氏は、その理由をこう話します。
山本修一郎氏:
今回問題が起きたシステムが、全社レベルでデータを“見える化”するものなので、不具合原因の特定が進んだとありますけども、システムの間違いを改修したとしても、全社レベルでシステムの信頼性を保証するには全体のテストがいります。
また、今回工場で食べ物を生産していますよね?そうするとシステムが動くだけではなく、作った食品の安全性も監査しないと危ないですよね?
そういったことを全部ひっくるめると、2カ月というのは私の経験からしても「短い」ほうだと思います。
経産省によると、デジタル競争が激化していく中で、このようなシステム移行によるトラブルは来年以降増加していくとみられ「2025年の壁」と呼び警鐘を鳴らしています。。
現在使われているシステムは20年以上稼働しているものも多く、サイバー攻撃への脆弱性から、情報流出などのリスク軽減のために、システム更新は避けられないという状況が迫っているというのです。
山本修一郎氏:
大企業であれば今回のような問題があっても体力があって乗り切れるだろうと思います。しかし、経営資源が乏しい中小企業で、今回のようなトラブルがあるとその企業の事業継続に大きな問題になってしまいます。
一方で、デジタル化の波に乗れないと、生産性や迅速性の点で競争力を失ってしまいます。従って、失敗を未然防止しながら、着実なシステム移行を進めていく必要があると思います。
(『めざまし8』 2024年5月16日放送より)
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