池波正太郎さんによる傑作時代小説『鬼平犯科帳』。これまで何度も映像化されてきた人気シリーズの劇場版『鬼平犯科帳 血闘』が5月10日より公開中です。主人公は言わずと知れた“鬼の平蔵”こと、火付盗賊改方長官・長谷川平蔵。最新作では平蔵が“本所の銕(てつ)”と呼ばれ、放蕩無頼な生活を送っていた青春時代も描かれます。
そんな銕三郎を演じるのは市川染五郎さん。父・松本幸四郎さん扮する平蔵の若かりしころを演じた心境や撮影の裏側についてインタビュー。さらに、染五郎さんの“いま”を深掘り。にじみ出る色香の秘訣やプライベートに迫りました。
市川染五郎 19歳の“美”に接近! 「自分を美しいと思ったことはない。変化していく過程を楽しみたい」
<市川染五郎 インタビュー>
――『鬼平犯科帳』といえば、初代松本白鸚さんや二代目中村吉右衛門さんなど、染五郎さんに縁のある方が主演を務めてきた作品ですが、シリーズに参加することへの思いを聞かせてください。
実は出演が決まるまで『鬼平犯科帳』をきちんと拝見したことがなく、(中村)吉右衛門の叔父さまがずっと演じていらっしゃる時代劇、というくらいの認識しかなかったのですが、父が出演した『鬼平犯科帳スペシャル 引き込み女』(2008年/フジテレビ)を見て、こんなにも面白い作品だったのかと衝撃を受け、もっと早く見ておけばよかったと後悔しました。
長谷川平蔵という役柄を引き継ぐことは父にとっても大きな挑戦(※)だったと思いますし、少しでも父の力になれたらという心境で出演いたしました。
(※中村吉右衛門さんが主演したドラマシリーズは、2016年までフジテレビで放送。松本幸四郎さんは市川染五郎時代に2008年の『鬼平犯科帳スペシャル 引き込み女』で初めて『鬼平犯科帳』に出演した)
――完成した作品を観てどのようなことを感じましたか?
時代劇専門チャンネルで放送されるテレビスペシャル「本所・桜屋敷」と、劇場版の「血闘」を同時進行で撮影していたので、どちらの作品を撮っているのか現場で混乱してしまうこともありましたが、完成したものを見比べてみると、「血闘」は映画館のスクリーンで上映されることを意識したスケール感と迫力に圧倒されました。
自分たち役者がやることに変わりはありませんが、監督をはじめとするスタッフの皆さんにはドラマと映画で作り方の違いがあると思うので、そこに立ち会えたことも新たな発見がありましたし、貴重な経験となりました。
――撮影を振り返ってみての感想を聞かせてください。
現場がとても居心地のいい撮影チームでした。温かい空気感の中、撮影をすることができました。ですから、撮影が終わったときはとても寂しかったです。
僕の出演は現状「本所・桜屋敷」と「血闘」の2作品だけということになっているのですが、機会があればまた銕三郎になってみたいというのが個人的な願いで、それほど愛着のある役柄になりました。
――銕三郎をメインとした外伝やスピンオフを見てみたいです。
もし、作っていただけるのならそれはとてもありがたいことですね。
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